エアロビクスにおけるアミノ酸摂取研究

エアロビクスにおけるアミノ酸摂取研究

実験方法

◆ 被験者は、男性5名、女性3名。年齢は38歳~58歳

◆ 8名を無作為で2つのグループに分け、『アミノ酸摂取グループ』と『プラセボグループ(※1)』として、ダブルブラインド・クロスオーバー法(※2)で行った。

◆『アミノ酸摂取グループ』は、12種類アミノ酸混合物を1ヶ月間、朝・夕後3g(6g/日)摂取した。[3gの内訳⇒BCAA:0.64g、アルギニン:0.34g、グルタミン0.34g、その他0.68g]  『プラセボグループ』は、アミノ酸を糖に代えたものを用いた。1ヵ月後、2つのグループを交差させて、体質による作用の違いを無くし、さらに1ヶ月間、摂取を続けた。

◆エアロビクスは、ウォーミングアップ30分、レッスン60分、クールダウン30分の計120分。

◆1ヵ月後、2ヶ月後の各時点で、ダンスプログラム開始30分前と終了30分後の2回、肘静脈血を10ml採血し、各種血液指標を測定した。

=用語解説=

(※1) プラセボ・・・偽薬のこと。この場合、アミノ酸の変わりに摂取する『糖』を指します。

(※2) ダブルブラインド・クラスオーバー法・・・ 検査の対象となる薬物と、何の効果もないプラセボ(偽薬)とを折り混ぜて患者さんにはまったく区別がつかない状態で一定期間投与し続け、客観的に薬物の効果を判定するという方法です。

結果

◆『ミオグロビン(※3)』や『クレアチンフォスフォキナーゼ(CK)(※4)』は、筋肉が破壊されたときに、血中に放出される。筋肉破壊の度合いをこの2つの指標で比較できる。

◆プラセボグループは、運動前に比べて運動後の血清ミオグロビン値が245%と著しく上昇したが、アミノ酸グループでは163%の上昇率だった。

◆プラセボグループは、CK値が、運動後に126%に増加したが、アミノ酸グループは、113%にとどまった。


【結果のポイント】

アミノ酸を摂取すれば、筋肉破壊が抑制され、 翌日に疲れを残さない!!

=用語解説=

(※3) ミオグロビン・・・筋肉に存在するヘムタンパク質。よく聞くヘモグロビンもヘムタンパク質の一種。酸素貯蔵体としての機能ももつ。

(※4) クレアチンフォスフォキナーゼ(CK)・・・クレアチンリン酸(※5)の合成と分解(ローマン反応)を触媒する酵素。別名クレアチンキナーゼとも言う。

(※5) クレアチンリン酸・・・主として筋肉中に含まれる。





【参考】
Hayashi,J  『エアロビクスダンスによる筋肉傷害に及ぼすアミノ酸複合摂取の保護作用』第39回 日本臨床生理学会