タイムトラベラー by スピッツ専用ザク
(注) 歌詞 でありません。曲の意味を勝手に解釈したものです。
この間、ほこりだらけの屋根裏部屋を見つけた。
引っ越してきて、1年以上経っているというのに、
僕はそれまでこの部屋の存在を知らなかった。
ある日の夕方、窓を開けると、目の前にほほえんでいる女の人が立っていた。
「これをごらん」
「?」
渡されたアルバムを開くと(やっぱりこれもほこりだらけだったので、払って
から開いた)、
赤い鳥居の下で綺麗な服を着た、父さんと母さんが写っていた。
気がつくと、女の人が横にいて、僕の手をとって言った。
「さあ、君が生まれる前についたよ。君が行ってみたいと思ったところ。」
白いもやが晴れて、目の前の鳥居を越えると、青空の下で父さんと母さんが結
婚式をしていた。
お母さんは泣いていた。婆ちゃんが背中をさすりながら、涙をこらえていた。
すぐ横に女の人の顔が見える。綺麗で、前にも見たことがあるような顔だった。
「君に似ているね」
女の人はそうつぶやいて、真っ直ぐ前を見た。
すると突然、地面がぐにゃりと曲がって、視界が真っ白になった。
気がついたら、元の屋根裏部屋にいた。
でも何かが違うと気がついた。急いで窓を開けた。
外には見慣れた町が広がっていた。けれど、僕が自転車で行ける距離より先は
無くなっていた。
1羽の鳩が飛んでいた。目で追っていくと、なんだか変な感じがした。
鳩が卵の中に帰っている!時間が逆流しているんだ。
僕が屋根裏部屋にいたときは夏だったのに風が冷たい。
「あの人は誰だったんだろう」
「私よ」
という声と共に、背中が少しふわっと温かくなった。
「答えは見つかった?」
僕は質問の意味がわからなくて、もう一回聞き直そうとした。
けれどやめた。そして、静かにこう言った。
「・・・もう一度、あの日に戻れる?」
「もう戻れない。もう・・・戻ってはいけない」
「でも今戻れたじゃないか!もう一度、出来るはずだよ」
そう僕が大きな声で言うと、風が止んで、部屋が一気に崩れ落ちた。
女の人は、僕が大事に思っていた人の顔に似ていた。けれどその人はもうここ
にはいない。
空へと旅立っていった。一週間以上前のことだった。
そのときから、僕は心身ともに疲れ果てて、何も出来ずにいた。
君が来てくれて、僕は本当に助かった。そう言いたかった。
今日の旅は忘れない。夢でも、本当のことでも、僕は忘れずにいよう。
そして今日から変わっていくのだ。僕は、タイムトラベラーなのだから。
スピッツ専用ザクさんからの投稿です。
タイムトラベラーは夕方に聞きたい曲です!
歌詞同様に時空の隙間が開くのじゃないかなと思うんです。
この歌詞解釈は何度も聴きながら何度も訂正をくわえて
頑張って書きました!