スピッツの歌詞解釈のコーナー

愛のことば by ほたる


(注) 歌詞 でありません。曲の意味を勝手に解釈したものです。

人の未来には、限りがあるのに。
戦争はそれを削り取っていくだけなのに。
毎日怯えて暮らしている。
そんな日々が嫌になった君は、
「こんな所からは逃げよう?」
と、俺を誘った。
君はただ、海を見ていた。
いつこの海が見られなくなるか、わからないから…。

この現実から逃げることは、結局できなかった。
どこに行っても同じだった。
みんな戦争に埋もれていた。
ただ、僕達はくだらない話をしてすごすことができていた。
それは愚かかもしれないが、何よりも素晴らしいことだと思う。

ついに、僕も兵として戦争に向かうことになった。
もう君には二度と会えないかもしれない。
君と昔観た映画に出ていたような、見たことのあるような道を歩いていく。
自分も行かなければいけないことには、薄々感付いていた。
なまぬるい風が吹いてきた。
君にもう一度会えたら、どんなことばを伝えよう。
そればかりを考えている。

優しいはずの空の色が、何故か薄く見える。
彼らが犠牲になったのが、この空の下だからだろうか。

街に転がったペットボトルが砕ける。
どこからか焦げくさいにおいがただよう。
一つ一つの命がなくなっていく。
どれも違う、尊い命が。君への、愛のことばを見付けることができるのだろうか。
…それ以前に、愛のことばを伝えることが、できるのだろうか…。

近くで何かが爆発した。
煙に包まれて、何も見えなくなる。もう、無理かもしれない…。
そんな時、煙の向こうから現れたのは…ボロボロになった君だった。

緊張の糸が切れ、強く抱き締める。
煙が少しずつ消え、青い空が見えた。
雲の間から光が指していた。
僕達には、それは神様のようだった…。

きっと君も、あの映画のような道を歩いてきたんだろう。
なまぬるい風に吹かれて。
抱き締めたままそんなことを思うと、また近くで爆発が起きた。
ああ、もうだめだ、集中攻撃されている。
道路の真ん中にいる僕達は、敵にとって格好の的となっていた。
でも、僕達は逃げようとしなかった。
二人でいられたら、それでよかった…。
煙が二人を包んでいく。
結局、愛のことばは見付からなかった。
ずっと探し続けていたけれど。

僕は、今考えられる、最も愛のこもった言葉を囁いた。
それが精一杯だった。
その瞬間、痛みが消えた気がした。
君とひとつになった気がした。
そしてそのまま、二人は眠った。
溶け合いながら…



ほたるさんからの投稿です。