スピッツの歌詞解釈のコーナー

愛のことば by 小瓶


(注) 歌詞 でありません。曲の意味を勝手に解釈したものです。

私達の人生は、即ち私達が使える時間なのよ。

それにはリミットがあるというのに、私達は徒らにその時間を世間体や同調圧力とか
で搾取されてるのよ。

勿体無いと思わない?

そんな “負” のループに早く気づいて抜け出さなきゃと思わない?

…相変わらず理屈っぽい君の熱弁を、何時もの様に相槌を打ちながら聞いていた僕だけ
ど、何気なく見たその瞳は何時もと違い、真に迫っていたのを覚えている。
君との日々はたわいもない遣り取りの連続だった。そのまったりとした関係性に僕は
居心地の良さを覚えている。きっと君も、表じゃ披露出来ない屁理屈や下らないバカ話
を気にせず振れる僕の事を重宝がってくれてるんだろう、と思ってた。
…でも今日突然、君に大変な宿題を出されたと、正直背筋を正した。

口にはしないけど、僕だって何時も感じている。
喧騒に満ち、殺伐としたこの街は、戦場に他ならないんだ。
物理的な意味ではなく、毎日何人の人達の心が死んでいっている事だろう。
そして生き残った僕を含めた人間は、彼等の血に染まった空を見上げながら、彼等の痛
みなど思いもしないで、生き残るために大事な何かをおざなりにしながら “取り敢えず”
生きてる。
…分かってるんだ。僕も抜け出したいんだ。こんな怠惰な自分から。

“愛とは何だと思いますか?”
街角で突然、真っ白い布を纏った “いかにも” って青年から声を掛けられて驚いた。
…でも、それが契機になって、僕は真剣に “愛とは何なのか” と考える様になった。
家族への愛?恋人への愛? “神” なる存在からの愛?
みんな色んなところで愛のバーゲンセールをやっているけれど、…ねえ、愛って、本当
は何を指して言うの?
あの青年は “神の愛” をしきりに主張していたけど、どう見ても救われちゃいなそうな
彼の頭上で、雲間から漏れていた陽の光が、薄ら寒い神様とやらが次々と墜落していく
さまに見えて仕方なかった。

君との関係を “愛” と言い切れる勇気が欲しい。
でも、今の僕にはまだ、愛というものを的確に言い当てる言葉がないんだ。
もしかしたら、愛という概念を言葉で表現するのは永遠に不可能なのかもしれない。
それでも僕は、…君とこうして互いに舐め合い、侵入し合い溶け合いながら探している
んだ。
愛のことばを。



小瓶さんからの投稿です。