スピッツの歌詞解釈のコーナー

メモリーズ ・カスタム by いち子


(注) 歌詞 でありません。曲の意味を勝手に解釈したものです。

「なんだよ、また思い出しちまった」
俺には回想癖がある。全然実用性なんて無いことばかり思い出す。
「マッチ一本の灯りで…」なんてお話の、あんな便利なモノなら良いかもしれないが。

あやふやで幼稚でセンチメンタルな、半分はデタラメのメモリーズ。
端っこをつかんで押入れの奥からひっぱり出したもののように、
いつもカビ臭いけど・・・信用してていいのかな。

記憶をひっぱり出すのはすべてあなたのため。
危機的状況をのりこえる時の常套手段だ。

ばれてしまっては台無しだ。見えないように、あなたの役に立てるように、
必要ならばいつでもなんでも手に入れてあげられるように、準備して、
思いついた方向に、自由に、自在に、あなたのために蝶のように、
飛んでいける身なら、よかったのになぁ。

安定できない(安定したい)開放できない(開放したい)
心の底から願っていることだけど、
なにか大きなものに、いつも圧倒されていたい、束縛されていたい、
そう思う気持ちは実は生き物として当然の衝動なんだ。
圧倒されていれば、安定できる。
束縛されていれば、自由になれる。
いつもピンと糸の張ったような状況に身を置くときに、必要なのは「記憶」たち。

だけどどうして、俺の頭から出てくるのはいつも、
こんな怪しげなメモリーズばかりなんだよ? 嫌になる。

ひと波瀾があり、不意に、追いかけていた物の正体が判ってしまったよ。
だけど、それがなんだって言うんだ。本当のことなんか何の意味も持たない。
それよりも、何故「そう見せたかった」のか、それを模索するほうが大事なんだ。
見なかったふりをすることだ。ちょっと無理しても。
明日へ繋ぐために。これから先、起こることを幾つも頭の中に描いて。

ほら、できるだろう?



いち子さんからの投稿です。