トビウオ by うおさと
(注) 歌詞 でありません。曲の意味を勝手に解釈したものです。
おぼろげな後ろ姿の記憶。
その誰かの顔も思い出せないでいる。
たまらずに伸ばした手の先には、変わらぬいつもの風景。
夢。
湿った布団がぼくを現実に引き戻した。
でもなんだかいてもたってもいられなくなって、
気づいたら部屋を飛び出していたんだ。
追い風をうけてグングンとスピードを上げていく。
絶好調だ、最高に気分がいい。
このままキミを探しに出ようか。
もしもまた会えるなんてことがあったら、
この心臓の高鳴り、感情の昂ぶりそのままに、
キミの笑顔をまっすぐ見据えていられればいいのに。
そして少しでも長く、キミのそばにいたいと思うんだ。
水みたいな、空気みたいな、しっくりくる、
それでいてうきうきするような、
"しあわせ"みたいな時の流れの中に、少しでも、長く。
ずいぶんと月日が過ぎた気がする。
色々と見て、
聞いて、
話して、
知って、
手当たり次第、できそうなことはなんでもやってみた。
それでハッキリしてきたのは、なんてこともないこと。
ぼくはキミが好きだったんだ。
あきらめようとして、でもちゃんと忘れられなかった。
だから、思い出してしまったんだ。
あの心躍るようだった在りし日のあれこれを。
その実感とともに。
手を当ててみる。
鳴り止まない左胸。
顔が自然にほころぶ。ワクワクしないでいられない。
今なら間違いなく伝えられる、ぼくが抱え込んでいるイメージ。
好きだという気持ち。
そこにいてくれてありがとう、
聞いてくれてありがとう、
話してくいれて、笑ってくれて、
ありがとう、ありがとう、
どにかく感謝せずにはいられなくて、
青空にむかって、身体全部で叫んだ。
人波も気にせずに、ぼくは街を駆け抜けていく。
この感覚。いいぞ、最高潮だ。
あの時にこんな風に思えていたら、
なんて考えたって詮ないことだけど。
死ぬ前にせめて一目だけでも、なんて
とても言えない。
これからぼくらが呼吸をやめるその時まで、
ずっと、
ずっと一緒に歩いて行きたいんだ。
同じ方向を見据えながら、でも時に見つめ合って、
励ましあいながら。
気がついたんだ、見つけたんだ、
キミなんだ、って。
ぼくにとって。それは。
だから、
もう一度取り戻してみせる、この腕の中に。
必ず。
うおさとさんからの投稿です。