スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

コスモス (作者:ショコラ)

コスモス1

君の家のすぐ近くにある
すごく広い コスモス畑

僕は君に呼ばれてその場所に行った。

君はコスモス畑の真ん中に立って
はるか遠くを眺めてた。
その日は、真昼だったのに月が出てた。

風が吹いてコスモスが揺れる。
君の髪もなびいてた。
風にのって何処かに消えてしまいそうなほど
儚い姿・・・。

僕に気づいてこっちにくる。
僕の前に立って静かに微笑んだ。

あんな切ない君の姿を見るのは初めてだった。



その日の夜
君から電話がかかってきた。

他愛もないことを話たりして、
楽しい時間。

僕が話してたら、電話ごしに
かすかなため息のようなものが聞こえた。

どうした? と聞いてみると

「海、行きたいね・・・。」

君はそう、つぶやくように言った。

「今、秋だよ?
 海なんて行ったら風邪ひいちゃう」

そういうと、いつものように笑って
君は言う。

「わかってるよ♪
 来年の夏、絶対行こうね。約束だよ?」

そう言って電話は切れた。

あのため息はなんだったんだろう。

何故この時期に、この時間に
海に行きたい と言ったのだろう・・・。

ショコラ 著