スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

めざめ (作者:あつこ)

めざめ 【40】〜完結

先に口を開いたのは、翔太だった「そろそろ、・・・帰ろうか」と恥ずかしそうに言った
なんだか、私も恥ずかしくなってうん、とだけ返事をして
そのまま手を握ったまま、ドアへ歩きエレベーターに乗った

「サオリさん、待っててね。俺。勉強頑張るから」
「・・・なんのこと?」
「絶対、サオリさんと同じ大学行くよ、俺。だから、待ってて」
真剣な目でそう言った翔太に私はなぜか愛しさを覚えた
「ずっと、待ってるから。頑張ろうね」

エレベーターの12階のベルが鳴った
翔太が、個室からすっと出て、笑った


「次会うのは、どこだろうね」と言った
「いつでも会えるよ、こんな近くに居るんだから。ずっと、俺の傍に居てよ。」
「なぁに、それ。口説き文句?   
うん、ずっと傍に居てあげる。寂しくなったら、会いに来なさいよ」
「じゃあ、・・・また」
「うん、また、ね。」

ガチャン、と扉が閉まった どんどん私は下に降りていく
また一つ扉が開いた 3階じゃなく、1階。

エレベーターを出て私は財布を握りしめ、走ってコンビニまで駆けていった



朝陽はもう、あたり一面をオレンジに染めすぎていて気づかないぐらいだった




=完=



あとがき

過去最長デス。
もっとダークな話にしようかと思ったけど、ほどほどにしておきました。
書いてる途中、感想掲示板で様々な人からメッセージをもらえて本当に嬉しかったデス。
大切なオハナシのひとつになりました。
長くってごめんね、サオリが書いていて楽しかった。
ここまで読んでくれた人、ありがとうございます。
今後も精進していきます。

あつこ 著