クリスピー (作者:ひかる)
クリスピー 【19】
記憶の彼方によみがえる。
翔君とのいろいろな思い出、でも、お父さんとの色あせない思い出。
・・・翔君との思い出は色あせない?
私はどうなっても構わない。
ナナはいろんな気持ちが入り混じる中で、一日一日を過ごしていた。
街はクリスマス一色も過ぎ去り、もう新年を迎えた。
――1996年1月
もうすぐなんだな・・
表情には表さないものの、翔も迷っていた。
ナナを相手に任せてナナに迷惑をかけないようにするのか、それとも自分が守るのか。
翔「自分には経済力も金もない・・・
何となく答えは決まっていた。
他人から見れば「愛はなかったの?」って思われちゃうかもしれないけど、
好きだったからこそ、愛していたからこそ、相手に望む幸せ。
♪春が届いてるから
1月初旬
「あけましておめでとうございます!」
翔「今年もよろしくね。
ナナ「翔君、私たち、ちゃんと話してなかったけど・・・翔君も知ってると思うけど
私、春にはいなくなっちゃうんだよ・・。
きっとあの人は、一生私たちを会わせてくれないよ。
翔君はどうするの・・?
ナナの目に少しずつ涙の粒が溜まっては、落ちてゆく。
翔「相手に任せるよ。
ナナ「なんで??
翔「愛してるから。ナナちゃんは?
ナナ「愛してるよ。
翔「じゃあ、何も問題ないよ。
どうせ相手は国内のどこかにナナちゃんをかくまうだろう。
もしも、外国へ行っても同じ星にいるんだし。
・・・同じ空の下にいるよ。
だから、寂しくなったら空を見て。
ひかる 著