ハニーハニー (作者:P)
ハニーハニー 【9】
何日かたったある日のこと。
わたしたちは、毎日この時間に公園で会っていた。
「なあ。お前、世界好き?」
「は?世界?」
「宇宙と世界はつながっている!!!みたいな」
「なにそれ。キザったらしいよ、かなり」
「だってお前、宇宙好きなんだろ?だったら、世界っつーか、地球も好きなのか?」
「・・・・・好きじゃない。生き物がいるから。」
「生き物?」
「まあ、人間がきらいなだけかも。人間って、あんなに汚いのもいるって思うと、怖
くなってくるんだよね。」
先輩のことを考えていた。誠也と、理恵のことも。
平気で他人を裏切る。
平気で他人を傷つける。
―――世の中、怖いもんだらけだ。
どうして?
なんでわたしが?
神様どうして・・・・
わたしには居場所がないの?
そんなことを考えてもしょうがないのは解ってる。
でも、どうしようもないのだ。
リンゴが熟したら、落ちて傷ついちゃうのと同じように、どうしようもないのだ。
一歩手前でとどまることができなくなってしまう。
そして、自分を傷つける。
そういうことしか、出来ないのだ。わたしには。
涙が出てきた。
「おまえ・・・そんなに怖かったの?」
「まあね。ごめん。格好悪くて」
「全然・・・・」
「え?」
涙もおさまったころ、風は唇を噛んでいた。
「全然格好悪いことじゃない・・・と思う」
「なに?なんかあった?」
風の唇が緩んだ。
「俺、養子だった。」
「え?・・・・養子って・・・・・」
「あんなに好きだった父さんの子どもじゃなかった」
「そんな・・・・」
風はお父さんっ子で有名だった。
「俺のホントの父さんと母さんは、俺を平気で捨てたんだ。なんでだろうな。いまど
き、養子なんて、かっこよくもないのに。」
風が苦しんでいる
―――ズキン
胸がいたんだ。
この世に、わたしと同じ苦しみを味わっているひとが、こんなにも近くにいる。
しかも、わたしの大好きな人・・・・
―――わたし、風が好きだったんだ・・・
なんでこんなときに気づくんだろう。
風は、「じゃ」といって走って行った。
なにも出来なかった。
でも、なにかしてあげたかった。
P 著