スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

君が思い出になる前に (作者:コーラ)

君が思い出になる前に 【1】

 本当にもうこいつと会うことはなくなってしまうのか・・・

 「悠太?ゆーうた!!」

 「ん?」

 「どうしたの?ボーッとしちゃって・・・」

 「ああ・・・ごめん」

 「もう!しっかりしてよ!今日は最後のデートなんだから!!」

 「・・・・ああ」

 最後・・・・か・・・・確かに今日で最後かもしれない・・・

 そういえば、紹介がまだだったな・・・俺は「橋田 悠太(はしだ ゆうた)」

 そして、隣にいるのが俺の彼女「沢野 真由(さわの まゆ)」
 
 「ねぇ・・・本当に明日行っちゃうの・・・?」

 真由がそう尋ねる。

 「ああ・・・・」

 俺がそう答えると真由は「そう・・・」と言って下を向いてしまった。

 「・・・こんなに暗かったらデートになんない!悠太!デパートいこ!」

 真由はにこっといまにもはみ出しそうな笑顔で俺をみた。

 この笑顔・・・前にもみたな・・・・あの日もここで・・・

 こいつのはみ出しそうな笑顔を・・・

 真由の笑顔は昔とまったく変わっていない・・・

 「そういえばさーここって変わったよね」

 「そうか?」

 「変わったわよぉ〜水の色や風のにおいがさ!」

 確かに、ここは変わった

 水の色もきれいになったし、風のにおいも良くなった・・・

 「ねぇ・・・しつこいと思うけど・・・本当に明日行っちゃうの?」

 「ああ・・・明日の朝・・・・船に乗ってな・・・」

 そう・・・俺はここからとても遠い大学に受かったため、明日の朝一番の船に乗っていく。

 こいつ・・・真由と離ればなれになる

 「ごめんな・・・昔、「いつか二人だけで旅に行こう」って言ったのに」

 「いや、いいのいいの!覚えててくれただけでうれしい!」

 夢にみた真由との旅路も、結局かなわなかった・・・・

 「本当にごめん・・・」

 「・・・もう!どうした!悠太らしくないなぁ〜。あっ!みてみて!
 
  あのネックレスかわいい!!いこ!悠太!!」

 「・・・・うん!」

 俺はその時ふと思った

 「何で俺あんな大学に受かったんだろう」と・・・

コーラ 著