タイム・カプセル (作者:えりんこ)
タイム・カプセル 【9】
「じゃあ説明しまーす!」
草野は未紀を座らすと、ひとりでペラペラと喋りだした。
「未紀ちゃんは87年に会った未来ちゃんの娘さんなわけよ。」
「未紀ちゃんの世界ではお母さんとお父さんと暮らしてるって。でも、俺達
のことは未来ちゃんは覚えてくれてるってさ!」
「そっか!嬉しいなぁ。 あの頃は草野は未来ちゃん一筋だったからね~」
田村と呼ばれる男が草野をチラリと見ながら、言った。
「た、田村!よ、余計なこと言うな!」
草野は顔を真っ赤にしながら、反論した。
「あ、あの!」
「ん?未紀ちゃんどうした??」
「あの、草野さんって何かペンダント持ってませんでした?」
「あぁ・・・うん。持ってるよ!」
「見せていただいてよろしいですか?」
「別にいい…ってよくなーい!」
でも、それを言ったのは遅く、田村と呼ばれる男が草野の首からペンダント
をとって、未紀に差し出した。
「やっぱり!」
未紀は少し大きい声をあげた。
「これ、お母さんが持っているのと同じです! いつも大事そうにつけてい
るんです。」
「ほほほほ、本当に!!!」
草野がまた顔を真っ赤にして、嬉しそうに顔を上げた。
「母が言うには、これは大切だった人から貰ったものだそうで…」
「よかったじゃん。草野!大事にしてくれてて…って草野??」
草野は座布団を頭からかぶって、身動きせずにじっとしていた。
すると、座布団の下から何か声が聞こえた。
「ウゥゥ…」
「何泣いてんだよ! おもしれー!」
田村と呼ばれる男は指を指して馬鹿にした。
「あ、そうだ。未紀ちゃんだっけ?」
「はい。」
「何で泣いているかちょっと教えてあげるよ。」
「は、はぁ…」
田村と呼ばれる男は未紀を自分の前に座らせて話し出した。
えりんこ 著