タイム・カプセル (作者:えりんこ)
タイム・カプセル 【14】
「できましたよー。」
未紀が二人に声を掛けると、行儀よくちゃぶ台の前で正座をした。
「未紀ちゃーん。」
草野が呼びかけた。
「はい?なんですか?」
「なんで田村がいるの?」
「ちょっとここまで送っていただいたんで…」
「田村ーどういうこと?」
「あぁ。なんか道に迷ってたみたいだから、送ってきたんだけど…」
「そのお礼にといってはなんですが、ご飯一緒に食べましょうということに
なったんですが…」
「そうなんだー。」
「では、いっただきまーす!」
3人で黙々と食べ始めた。
「アサリの酒蒸だぁ!おいしそー!未来ちゃんも作ってくれたなぁ〜」
「これ、この前母から教わったばかりなので味は保障しません。」
「でも、未来ちゃんから教わったんなら全然大丈夫でしょー。俺からいただ
きます!」
田村が一口食べた。
「ん!未紀ちゃん、おいしいよ!草野!食べろよ!」
「ホント!じゃあ!…うまいなぁ!ありがとー♪」
「いえいえ…(ちょっとお酒入れすぎちゃったけど、まぁいいか!)」
そして・・・3人そろって
「ごちそうさまでした!!!」
「俺、片づけするよー。」
田村はささっと台所へ皿を持っていくと、そのまま洗ってくれた。
「あぁあ!やります!すいません!すいません!」
未紀があわてて台所へと走った。 そして、田村がテーブルに帰ってきた。
「なんか未紀ちゃんって働き者だね〜」
「…はーそーだなぁ!へへ〜」
「おい、草野?お前どうしたの?」
「酔ってねぇぞ〜ハハハ〜」
「酔ってんじゃねえかよ…そんなにお酒弱かったっけ…酒蒸の酒がちょっと
濃かったけど…」
草野は立つと、少しフラフラしながら洗い物をしている未紀の背中へ回っ
た。
「未来ちゃーん!」
未紀が後ろを振り向くと、草野が倒れてしまった。
「ちょ、ちょっと草野さん??」
「未来ちゃん…会いたいよ…」
それを言うと、今のコトバからじゃ考えられないようないびきをかいて、寝
始めたのだった。
えりんこ 著