タイム・カプセル (作者:えりんこ)
タイム・カプセル 【26】
「眠くなってきたー」
未紀の部屋にふたりは戻った。
「それで寝たらメタボの元ですよ!」
「め、めたぼ…?めたぼって何?」
「え!?(そうだ、草野さんは時代が違うんだっけ!)メタボというのは簡
単に言えば肥満病みたいなのです!」
「や、やばいな…それはこの先注意しなきゃ!めたぼって広めておく!」
「えーそれは…」
ふと草野は机の上のカセットデッキを見た。
「何聞いてたの?」
「ヒバリのこころって言うんです!」
「あ、俺らのデビューシングルと同じ…ってこれ俺らのだ!」
草野は机の上のジャケットを指さした。
「もう今では貴重なんですよー!宝物です♪聞きますか?」
「い、いや…恥ずかしい…っておい!」
未紀はカセットデッキに手をかけ、再生ボタンを押した。
僕が君に出会ったのは
冬も終わりのことだった。
眠りについた。
えりんこ 著