猫になりたい (作者:茉莉花)
猫になりたい 【2】
ブルルルルル… ブルルルルル…
「ちょ、携帯」
「…ん、たぶんメール」
面倒くさそうにもそもそ起きだし彼女が携帯を開く
「今日のふたご座は8位、ラッキーカラーは黒」
「…なにそれ」
「ヒマつぶしに登録してみた」
「ふふ、微妙な休日やね」
「いて座、あっ生意気…2位。ラッキーカラーは…スカーレット」
「なにその色」
「赤っぽいけどちょっと深みがあるような…」
「わけわからん、赤でいいよ」
「あー、目ぇ覚めちゃった」
「…ちょっと外歩かん?」
アパートを出るとまだ朝のひんやりした空気が残っていた
「あ、黒いダウン。ラッキーカラー…」
そう言って僕の袖をちょっと引っ張る。
「もういいって」
なんて笑いながらいつもの通りに出た
車もさほど走っていない、朝方の通り
「さぶいね」
「そだね」
ぽつぽつと会話をしてたら彼女が一言
「あれ、なにかな」
いつもの通りの片隅に何かが見えた
茉莉花 著