手を伸ばす 【10】 〈深谷アオイ〉のネームプレートの前で、ユウトは深呼吸をしていた。 ここに、この名前がある時点で退院していないことは明白だった。 出来れば、目を覚ましているほうがいいが、きっと目を覚ましていないのだろう。 そう思いながら、ドアに手をかけた。