◆全文紹介
- 我が国は、森林の面積が国土の7割ほどを占めている。
- この割合は、国連食糧農業機関(FAO)の資料によると、先進国の中で高いものである。
- 森林は、主に天然林と人工林に分けられる。
- 日本においては4割ほどが人工林であり、その中でスギが多くの割合を占めている。
- スギ花粉は春になると飛散して、アレルギーを引き起こす原因になっている。
- この20年間で、花粉症の患者は増加している。
- その原因としては、戦後の植林政策が考えられる。復興や経済成長などによって、木材の需要が急速に高まった。
- そのため、ほかの木と比べて成長が速く利用に適しているということで、スギが数多く植えられた。
- その後、木材輸入の自由化がスタートして、林業が衰退し伐採されなくなった。
- スギ花粉は、樹齢30年頃から飛散を始める。近年、その時期を一斉に迎えたため、花粉が増えてしまった。
- こうした状況から、国や東京都などは、花粉が少ない品種への植え替えを促進している。
- この対策は、仮にすべての植林地で行ったとするとかなりの時間を要する。
- そのため、林野庁では植え替えと並行して飛散防止剤の開発も進めている。
- これは、スギの雄花だけを枯らすカビを活用したものだ。
- 実用化すれば、すでに花粉を飛ばしている成木に効果を発揮することになる。
- 現在、林業の担い手不足から多くの植林地は荒廃し、樹木の生育が悪くなっている。
- これは、二酸化炭素の吸収力が下がったり、強く根が張らずに地盤が弱くなったりする原因になりかねない。
- 本来スギは加工しやすく、断熱や調湿にも優れ、日本の家屋に適している。
- うまく育てつつ継続的に伐採して活用することが、花粉症だけではなく、環境にも有益な手立てとなるであろう。
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