◆全文紹介
人とつき合う法(河盛好蔵 著)
- 約束の時間を守らないで、他人に迷惑をかけることは悪いことであることは、だれもがみとめる。
- それなのにどうして私たちはこんなに時間にだらしがないのだろうか。
- その理由は、私たち日本人は、時間をムダにしたり、ムダにされたりすることにあまり細かく気にかけない性質であるからだと思われる。
- 10人の会合に、10分おくれてやってきた人は、ほかの9人の人たちから10分ずつ、合計90分の時間をうばい取ったわけだが、当人はそれほど重大なあやまりをおかしたと思わず、10分ぐらいの時間のムダは、ほとんど気にかけない。
- これがいけないのだと思う。
- もしこれがお金だったら、人々はこんなにのん気にしているわけにはいかないだろう。
- つまり多くの日本人にとって、時間は、それをすぐお金のねうちにかえて考えるほど、大切ではないのだろう。
- しかし、自分にとって大切ではないからといって、他人もそうであると考えることはあやまりであろう。
- だいたいに、時間を正確に守らないのは、いそがしすぎる人と、ひますぎる人に多いようである。
- 前者は他人は自分ほどいそがしくないだろうから、少こしぐらい待ってもらってもゆるされるだろうと考え、後者は他人にもひまな時間がどっさりあると考えているのである。
- どちらも自分中心の考え方であることはいうまでもない。
- しかしこれからの若い人は、他人の時間を大切にすることを大いに学ぶひつようがある。
- そうでなければ、まんぞくした共同生活を送ることはできなくなるであろう。
- それは人々がますますいそがしくなり、それだけに自分の時間をいよいよ大切にするようになるからである。
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