◆全文紹介
知っていますか 日本の自然と木の文化(河津千代 著)
- 近ごろは、真壁づくりの家が少なくなりました。
- 木造建築が少なくなったためです。
- しかし、木造家屋を大壁というつくりにすることが多くなったせいもあります。
- 大壁というのは、板や合板やビニールクロスで家の骨組みをおおい、柱を見えなくした壁のことです。
- 大壁にすると、壁が家をささえている西洋の家に似てきます。
- 大壁が主流になったのは、人々の好みと生活様式が、洋風になったためでしょう。
- しかしそれは、家のためには決して好ましいことではありません。
- 日本は、高温多湿の季節がある国です。
- そういう国で、木材を、通気性のない外装と内装の間にとじこめると、家をささえている大事な柱が、むれて弱くなってしまうからです。
- 日本に真壁づくりが生まれたのには、それなりのわけがあるのです。
- 木は、柱や板になってからも、生きて呼吸しています。
- ですから、息がつけるように、せめて家の中ぐらいは、柱をむき出しにしておいたほうがいい。
- 10センチ角、長さ3メートルの柱一本は、ビールびん一本分の湿気を、吸ったり放出したりしています。
- 柱をむき出しにしておけば、それだけの湿度を調節することができます。
- 住まいを近代化することと、洋風にすることとはちがいます。
- 真壁づくりは、日本の風土に合った国「です。
- 木の美しさや、大工さんの技術も生きてきます。
- 壁は、合板や石こうに変えてもかまいません。
- しかし、柱を空気にふれさせる国「は、ぜひ復活してほしいものです。
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