スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

ハニーハニー (作者:P)

ハニーハニー 【5】

もっとわけのわからないことがおこった。
「なに言ってんの?さっきと言ってること違うじゃん!」
初めからいた先輩が、いきなり怒鳴ってきた。
わたしはもう大泣きだ。
そのせいでまた、
「きらいって言ったんだろ!」
「なに嘘ついてんだよこいつ」
「意味わかんねー」
「だいたいなにがいやなんだよ。こんなに優しくしてやってんのに」
最後の言葉は、なんとしても否定したかったし、いやだということをわからせたかっ
た。
「全部がいやなんです!」
叫んでしまった。
それがいけなかった。
「はー、ずっといやいややってたんだ!」
「うっわー、うちら裏切られたよ。しかも1年に。」
「教えてきたこと全部無駄になったー」
「なんでそんなに生意気なわけ?」
「そうだ、うちらの先輩だったんだー!」
「そっかー!江藤せんぱーい、ここ教えてくださいよー」
わけのわからないことまで言い出した。
早く抜け出したくて仕方がなかった。
それでも、時間はちょっとずつしか進まなかった。
先輩達が外の練習に呼ばれた。
さっさと行って欲しかった。
だけど願いは叶わず、3年の先輩2人が残って、わたしをねちねちと苦しめた。
わたしがなにもしゃべらなくなると、「こりゃー先生に助けてもらうしかないね」
と、先生まで味方につけた。
そして先生がいなくなったあと、またねちねちとやられた。
結局、なにが悪いのかわからないまま先輩に謝った。
「すいませんでした!」
「それ、謝り方おかしくねー?」
「本気で泣いてるように見えないんですけどー」
「楽器けがしたくせに、なんでそんな態度とれんだよ」
わたしは、わたしの存在の意味がわからなくなってきた。
部活終了後、その日は6時終了だったのだが、校門の前で、7時までねちっこくやられた。
最後には、
「これから仮病つかったらどうなるかわかってるよねー」
「親に言わないでよ。うちらが悪いみたいに思われちゃう!」
家に帰って泣いた。
親には少しだけ言った。
明日からずっと、1年生が終わるまで、あの人達と一緒に行動していかなければならない。
そんなことを思うと、心が血を吹いた気がした。
苦しくて仕方がなかった。

P 著