僕のシロツメクサ (作者:ミルク)
僕のシロツメクサ 【1】
僕は、隼祐。
横に立っている彼女は、友人の優。
二人で出掛けることも、珍しいことじゃない。
だってただの、“お友達”でしかないから。
自分にとって優は、友人であり、好きな人だ。
優が僕を恋愛対象として見たことは、無いと思う。
そして、きっとこれからもないのだろう。
とか言いつつも、彼女と二人で、幸せに過ごす日々を、思い描いたこともある。
でも、そんな日々には僕じゃ届かない。
僕の勘なんて、当たらないかもしれないけれど、優とはこのまま、きっと、ずっと友人のままだ。
「隼祐、花屋さんに行きたいんだけど、構わないかな?」
「いいよ。」
ほら、異性だからって、友情にはちっとも関係ない。
僕が優を、勝手に異性として意識しすぎてるんだ。
男なんて、少女漫画とかでしか、チヤホヤされないものだから。
「はぁ…」
自然とため息が漏れた。
すると優は、心配そうな顔をして、
「何かあったの?」
と尋ねた。
友人じゃなかったら、完全に好意を示していることになるような言動だ。
でも、僕らは友人だった。
優にとって、僕が友人なのは、何一つ問題ない。
けれど、僕にとって、優と友人なのは、ただの邪魔な関係でしかない。
こんなことを考えている僕は、最低だと思う。
「隼祐、何かあったの?って訊いてるでしょ?」
僕はハッとし、慌てて返事をする。
「いや…、別に。」
「あなたは隠し事をする時、いつも『別に』って言うのよ。知ってた?」
「まさかぁ」
「何を隠しているの?」
「いいんだ、まだ君に話すには、早いから。」
「何を言ってるんだか…。」
呆れた顔をした優も、なんだか可愛らしかった。
ミルク 著