スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

僕のシロツメクサ (作者:ミルク)

僕のシロツメクサ 【2】

「ねぇ、どのお花がいいかな?」

「・・・・・。」

「ねぇ隼祐、聞いてるの? ねぇったら!」

「はいっ!はい?何でしょうか?!」



ボーっとしていた僕は、優に話しかけられていたことに気づかなかった。



「信じられない・・。で、どのお花がいいかな?」


優を、また呆れた顔にさせてしまった。



「えぇ・・・その辺の線路脇の花のほうがいいんじゃないの?」



「・・・っあんた、店の中でどうしてそういうこと言うかなぁ?」

「・・・ごめん」


好きな人の前だと、いい格好しようとすればするほど、しくじる。
恋って、すごく皮肉で、もどかしい。


「・・・そうね、線路脇行こうか?」

「え?いいの?」

「うん。隼祐の意見は、正しいから」



優は静かに微笑んだ。彼女の笑顔は、きれいだった。

僕も自然と笑顔がこぼれた。

「本当?ありがとう。じゃあ行こうか?」



いつまでも、こんな風に話していたい。

そしていつか、友人としてではなく、恋人として話してみたい。



そんなことを考えると、自分でも馬鹿らしくなる。


でもいいんじゃないかなって、それでも。

僕は今までも、そしてこれからも、きっと馬鹿なままだから。


なんて、くさいセリフを考えてたら、なんだか急に恥ずかしくなった。

ミルク 著