スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

僕のシロツメクサ (作者:ミルク)

僕のシロツメクサ 【3】

線路脇にはたくさん花が咲いていて、僕はそこの花が好きだった。

「あ、シロツメグサだ。」



優は幼い子供のように、にこにこしながら駆けて行った。


「シロツメグサがいいかな。隼祐、どう思う?」


「うん、いいと思うよ」

「そう?よかった」




優は鼻歌を歌いながら、機嫌良さそうに、花を摘んでいた。


そんな姿を見ていて、僕はただただ幸せだった。

幸せが何かから溢れるような、素敵な時間が過ぎていく。



時間は過ぎていくばかりだ。

大昔から、ずっと。



当たり前のことに、僕は気づいて無かったのかもしれない。


だから僕は、いつも後悔ばかりしているのか・・・。




今回だけは、いや、今日だけでいい。

僕は後悔したくないと、ただ強く思った。
今、伝えなければ、また後悔すると、なんとなく確信があった。


この幸せが溢れている、今ならしっかり伝えられるはずだ。

大好きな、鼻歌を歌っている彼女に。





大きく息を吸って、僕は口を開いた。

ミルク 著