スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

UFOの見える丘 (作者:ひかる)

UFOの見える丘 【6】

「ただいま」


俺は久しぶりにこの言葉を、人に対して言う。

シェリーは、なんて言ったらいいのかわからなかったのだろう

ベランダに立ち、少しだけ微笑んで
少しだけうなずいた。


「ベランダにいたんだ
「うん
・・・
また沈黙が続く
この静けさを破ったのはシェリーだった。

「あれも、月?

指差す方には、真っ赤に染められた夕陽があった。

「ううん、違うよ。あれは、太陽。
 もうすぐ沈んで、そして月が出てくるよ
「不思議ね
 ウイリーにも持っていきたいわ。

あはは、

お互いが見つめあって、少しずつ笑いあって。
一つの空間ができる

このまま、シェリーと生きていってもいい

そういう、幸福な空想も走らせる


「あっ、そうだ。服を買いに行こうか。

「服って着ているもののこと?
「そうそう。

シェリーもだんだん、会話の中で理解してくれようとしている。

「だって、その服じゃ外、出られないでしょ
「?

シェリーの服装は、灰色の体のサイズに合った
まさしく宇宙人が着ているものだったから。

「それに、その服装じゃ、目のやり場に困るし・・・


「なんて?
いや、いい。
小さい声で言ってよかった。

言った後に照れる俺って一体・・・?


「とにかく、明日行こう。絶対だよ。

ひかる 著