雪溶け (作者:ハチ)
雪溶け 【2】
「花井だっけ、お前ってさ、いっつも居残りだよなー」
一輝が私に初めて話しかけてきた言葉。
もうすぐ夏休みが始まる、蒸し暑い季節だった。
これが私と一輝の出会い。
「・・・君だって、いつも居残りじゃないの」
「オレは・・・この前1回だけ居残りしてないっ」
「ほとんど一緒じゃない」
私は笑った。
別に面白かった訳じゃないのに笑ったのは、彼にどこか惹かれたからかな。
私と一輝は、いつの間にか仲良くなっていて、
気がつけばいつも一緒にいた。
恋愛感情とかじゃなくて、
女の子の友達と一緒にいるよりも、一輝と喋っている方が楽しかっただけ。
たぶん彼も私に特別な感情は持ってなかったはず。
きっと。
ハチ 著