スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

テレビ (作者:ひかる)

テレビ 【6】

「現代」が本の世界になっていたとは・・・



もちろん、「現代」と言ってもデニーたちの現代と、美加の生きていた「現代」とは訳が違う。
考え込んでいたのは、デニーだった。

ファーラーはよくわかっていなかったようだが、もし本当ならば
私たちが生きている今は、実は現実ではなく幻ということになってしまう。
深く考えると、答えの結末にたどり着かないような気がするから、今はやめよう・・・。
とにかく、今はミカを安心させよう。
時空を越えて、ここへたどり着いたということは
ミカ自身、最も願っていたことなのだろうから。


チュンチュン 小鳥のさえずりで、新しい一日が始まる。
爽やかな「おはよう」が行き交う。
「ああ、すがすがしい!」
「パンが焼けているよ、さあ三人で食べよう。







その頃、本来の「現代」でも少し変化が起こっていた
ミカの‘ママ’と‘おじさん’が、変わらずテレビの前でイチャイチャ。
美加が姿を消して、1時間と経たないうち。

「あれ?美加は?
「・・知らねーよ
「それよりさあ~
「美加、遅いわよね
「子ども子どもってなんなんだよ!
バタン!その男は部屋を出て行ってしまった。
「待って・・・!




少し間があって、何もすることがなくなったママは
さっきまで二人で見ていたテレビのチャンネルを回し始めた。
1チャン、2チャン・・・11チャン、12チャン...
「あれ?
美加がこの時間帯に見る番組とは違うものが放送されていた。
「たまたまかしら?
見慣れた女の子が、噴水のある、いかにも外国風なお庭で走り回って遊んでいる。


・・・


・・・・



・・・・・



「待って

目を凝らして、よく見てみよう

「・・・美加・・・

美加だわ!!!

ひかる 著