運命の人 PV物語 (作者:えりんこ)
運命の人 PV物語 【3】
その頃、何も持っていない遺体はクスリと小さく、主治医達の奮闘する姿を
あざ笑った。
「バカだなぁ。この人達、なーんにも知らないんだから。じゃあちょっと抵
抗してみる?」
テレパシーで他の3つの遺体へ言葉を伝える。
「待て!俺らどんな状況か見えるだろう!?だったら助けてくれよ!」
ひとりは必死で訴える。
「ホントだよーこっちはこっちで大変なんだから、じゃあ注意をお前にそら
させろ!」
「了解♪」
微妙なウィンクをすると、反対を向いて歌い出した。あのCDの通り。
「でもさ、キミは運命の人だから〜」
ひとりの助手がその声に反応する。
「今、歌が聞こえませんでした?」
「あのCDの声だろう?」
「絶対あの一番奥の遺体からです!」
「どれどれ…」
チームは一斉にテレパシーを送った遺体を観察しだした。
「どーだ!」
観察されている遺体から、3遺体へ言葉が伝わる。
「さすがだなぁ…さすがボーカルやってたもんあるなw」
サングラスをしてギターも抱えている遺体がにやりと笑う。
「じゃあ、もう少し騒ぐか!」
ベースを抱えた遺体はベースのフレットへ指を滑らし、もう片方はリズムを
刻む。
「じゃあ俺もー♪マサはあとでな〜検査されてるモン♪」
ギターを抱える遺体もギターのフレットへ夢を滑らし、アルペジオを刻ん
だ。
「あーずる!テツ!俺も!俺も! あれ?崎ちゃんやんないの?」
「今本気で寝てるんだよw」
「そっかーじゃあ先やってて!」
「あいよー」
えりんこ 著