スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

運命の人 PV物語 (作者:えりんこ)

運命の人 PV物語 【2】

寝袋のような細長い滅菌カプセルが4列に一台ずつ並ぶ。


「この人達は、どういった関係だったんだ?」

「はい、同じバンドで一緒のメンバーだったそうです。
 地元の漁師が海で4人浮かんでいるのが見つかったそうです。」

「おぼれたのか?」

「それがまだ分からないのです。 他殺?」

「まぁ、いい。殺人であれば、陸で殺し海で投げ入れたとも考えられる。と
りあえず始めよう。」


「先生!」

「なんだ?」

「この曲、なんていうんですか?すごくいい曲ですね!」

「あぁ、これか。俺この人達の曲。好きなんだ。運命の人だって。」

「へぇー!」



四つの細長い滅菌カプセルが開けられた。

4人はみな青白い顔をして、精気を吸い取られているかのようだった。


「なんだかキレイな顔立ちだなぁ。」

ひとりの助手がボソリとつぶやく。

「なぜだ?」

主治医は腕を組んで助手に尋ねた。

「なぜって何がですか?」

「なぜこの人以外は全員楽器を持っているんだ?」

「はー…取らなければ…死因は特定できませんね!では…」


二人がかりで外そうと取りかかったもののびくともせず、1人は切断する頑
丈なナイフを取り出した。

えりんこ 著