スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

めざめ (作者:あつこ)

めざめ【16】

ふわぁ、っと翔太が大きくあくびをしたから私は「もう帰る?」と聞いた

「ん・・・まだ、大丈夫。居れる。」と寝ぼけ眼で言ったので
私は「ダメ。体壊しちゃうよ。」と言って先に帰らせた
「サオリさんは?まだ帰らないの?」
「私はまだ大丈夫。もうちょっと見ていたいから。気にしないで帰って寝な」
「そう・・・じゃぁ、お休み。またね」

「また、ね。」手をヒラヒラと軽く靡かせて別れを告げる

手首に傷が残ってる
コレは、先週の。こっちの方は先月につけたやつ。

なんで私はあの時、翔太をナイフで切らなかったのだろう?


夜の街が、浮かび上がる。
所々に灯りが灯って、星屑のように輝いている。
私はあんな風になれない。

どうしたら、いいの? どうやったら輝ける?
それともこのまま、私はずっと暗い海底のようなとこでうずくまっているのだろうか?

―――翔太は、あの人は輝けるだろうか、それとも道連れに・・・・。

胸が苦しい、切ない。―――痛い、張り裂けそう

こんな苦しみも、いつかは思い出して笑えるの?本当に?
分からないよ、誰か教えて。それとも私が気づいていないだけ?

彼となら・・・私も輝けるだろうか。星のように。
彼と一緒に空を飛ぶ時、一瞬でも輝けるだろうか?世界は美しく、見えるのだろうか。

世界は、美しく見えるだろうか?

あつこ 著