クリスピー (作者:ひかる)
クリスピー 【7】
ナナ「あのね・・虫が良すぎることぐらいわかってるんだけど・・・
今さらだけど、翔くんのことが好きなの・・・
だからね...。
翔「えっ!!?本当?!
翔は我を疑った。
まさか、願っていた事が今、この場所で起こっているのだから。
でも...。
翔「本当なの・・?
ナナ「うん...。
翔「大好きっ!!
ナナ「きゃっ!
翔は勢いよく抱きついた。野生のサルかとまでに抱きついた。
抱きしめた、とかそんなきれいな言葉じゃ表せないぐらい、
翔は気持ちをぶつけたのだった。
翔「あっ!ごめん!
ナナ「ううん。嬉しい・・・*
二人は照れながら無邪気に笑っていた。
翔「あ、返事は・・
観覧車が地上についた。
扉が開いて、夢のような時間は終わった、、気がした。
ナナ「さっき抱きしめてくれたのは、、付き合ってもいいってことだよね・・・?
翔「うん..。カアア*
ナナ「照れてる、、可愛い。。
ギュッ!
ナナは無理やり翔の手を引いて走り出した。
翔「(夢じゃないんだ・・・
そう思ったら今度は翔が、ナナの手を引いて走った。
遊園地の中を意味もなく。
ナナ「キャッ!ちょっと、、早いよ!
翔「クリスピーはもらった〜♪
ナナ「何?
翔「僕の好きな曲!
1994年2月。
春もそろそろ近づいてくるころ。翔とナナが出会って5ヶ月。
暖かい風が吹き起こる、そんな気がしていた。
ひかる 著