スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

砂漠の花 (作者:P)

砂漠の花 【6】

「あの・・・・・」
「はい?」
俺の前にお茶を置いた後、話し掛けてくる。
「なんか、困ってるみたいなので・・・。もしよかったら、いつでも来ていいです
よ。」
「え!?いえそんな・・・。」
「なんなら、住んでもらってもいいんですけど。」
―――こいつ何者だよ・・・。
ほんとに訳がわからない。
こんなことが、世の中にあったのか?
あっていいのか?
「・・・・・・・・・・・・・・」
「あ、すいません、めいわくですよね、そんなの。」
「・・・・・・・・えっと・・・・・・・・・」
「あ、ホントに、いつ来てもらっても構わないし、自由に使ってもらって構わないの
で・・・。」
「はぁ・・・・・。」
本当に、この人を信じていいのか。
迷った。
正直、信じていなかった。
この目は、なにか、訴えかけているようだったが、それを信じて、大丈夫なのか。
「じゃあ・・・お願いしてもいいですか?」
これは、口から勝手に出た言葉だ。
本心ではないはずなのだが・・・。
女はにっこり笑って
「あ、いいんですか?ありがとうございます。一人って寂しいんですよねぇ。」
まだ、なにか訴えている。
「あの・・・・なんかあったんですか?犯罪に関して等・・・・・」
聞いてしまった。
「え?」
「いえ、なんか寂しそうな目してるなと・・・・。」
「あ、解っちゃいました?」
女は、寂しそうに笑う。
胸が詰まった。
苦しい。
「どうしたんですか?」
声にならない声で聞いた。
苦しい。
痛い。
どうしたんだ俺は?
「話してもいいんですか?もう暗くなりますけど・・・」
「え?」
外は、夕焼けで真赤だった。
「ああ・・・大丈夫です。帰る家もありませんし・・・。」
「あ、そうなんですか・・・?あの、すんでもらってホントに構わないので、イヤで
なければ・・・。」
「はぁ・・・。それじゃあ・・・・。」
「あ、ホントですか!!うれしいなぁ。」
何があったんだろう。
おれなんか引き止めて。
俺みたいなのでもいいほど、
不安なのだろうか。

P 著