雪溶け (作者:ハチ)
雪溶け 【5】
結局、美恵と私は学校の近所のカフェに入った。
「えーと、じゃぁモンブランで」
「私はチョコレートケーキっ」
美恵はチョコレートが好きだ。
そして一輝もチョコレートが好きだった。
何気ないことでまた一輝のことを思い出したり・・・はぁ。
「あのさぁ・・・もしかして、一輝のことで悩んでたり・・・?」
「・・・・・・・」
美恵が心配してくれている。
自分のことよりも、私を大事にしてくれる。
今だって。
思い返せば、私はいつも美恵に助けてもらってる。
本当に迷惑かけてばっかりで・・・
そう思うと、涙が出てきて、止まらなかった。
「ちか子・・・大丈夫? ごっ、ごめんねっ、私また余計なことを・・・」
「ううん、違う。私、いつも美恵に心配させてばっかりだから、何だか申し訳なくて、・・・迷惑かなって」
「迷惑なんかじゃないよ」
彼女は笑った。
「ほんとに・・・いつも・・・・・ありがとう」
美恵の笑顔は人を幸せにする。私を幸せにしてくれる。
優しくて純粋な心を持った美恵。
それに比べて、私はどうだろう。
・・・駄目だなぁ、私。
ハチ 著