スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

雪溶け (作者:ハチ)

雪溶け 【6】

木枯らしが吹き始めるような季節になった。

それは突然だった。


「・・・え、どういうこと?」

「俺の親父がタイムマシンを発明したんだ。まだ完成じゃないんだけど。で、親父と俺で試しに乗ってみるんだ。」



信じられない。意味が分かんないよ。



「タイムマシンって・・・そんなの空想の世界じゃない」

「だから、世紀の大発明!もし成功すればすごいことになるんだよ!」



信じられないってば・・・。



「それって安全なの?」

「100%とは言い切れない。もしかしたら二度と戻ってこれないかもしれないし、何があるかは誰にも分かんねーよ」

「そんなの、一輝と二度と会えないなんて嫌だよ」

「ばっか、なんで戻って来れないって決めつけるんだよ!! 絶対、絶対戻ってくるからさ」


彼はにっと笑った。
その笑顔は、自信に満ち溢れていて、止める事なんて出来なかった。


「出発は、2日後の朝10時の予定。準備があるから学校には行けないけど、あさっては見送りにこいよ!」



うん、としか言えなかった。
考えただけで、苦しすぎる。
一輝がいない生活なんて、そんなの・・・



でも、そう思っているのは自分だけじゃないのか、ってふと思った。
一輝にとって、私はただの友達だし、
思い詰めてるのは私だけかもしれない・・・



一輝に想いを伝えるべき?

私はどうすればいいの?


考えれば考えるほど分からなくなっていった。

ハチ 著