スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

雪溶け (作者:ハチ)

雪溶け 【7】

2日なんて、長いようであっというまに過ぎた訳で。
いつもより少しお洒落して、一輝の家に行った。
彼の家は大きくて、少し広い庭がある。


今日は笑顔で彼を見送ろう。
そして、ちゃんと一輝に想いを伝えよう、そう決めていた。



「あっ、おはよ」


一輝はいつも通りに笑顔を見せた。


「こっち来てみなよ」


そう言って、私を庭の奥へと案内した。
庭の奥には、一輝のお父さん、そして助手の人が何人かいた。
そして、その後ろには、少し大きい鉄製の箱のようなものがあった。


「これが、親父が開発したタイムマシン。あんまりそういう風には見えないけどな」

「ふーん・・・。確かにそうだね・・・」



一輝が口にするのは、いつものようなくだらない話題ばかり。
学校であいつはどうしてた、理科の授業はどのくらい進んだ?・・・とか。
話が切り出せない。


「一輝、もうすぐ出発だ、準備して」


一輝のお父さんが言った。

私は少しずつ焦りはじめた訳で・・・


少し深呼吸してみる。

落ち着いて、言える、言えるよ。今なら。


「出発するぞ」

「一輝!ちょっと待って・・・」




大丈夫。言える。

ハチ 著